学習塾ブログ / 国連憲章と日本国憲法

2017年12月13日

国連憲章と日本国憲法

日本国は現在、国連に加盟している。その国連は世界平和を「集団安全保障」という制度で守ろうとしている。これは要するに、侵略を行った国家を国連加盟の国々が協同の「鎮圧のための有効な集団的措置」(国連憲章第1条)を取ることにより鎮圧すると。これを安全保障理事会の決議に基づいて実行するという段取りです。国連憲章42条で軍事的措置に関して規定がありますから、侵略国に対してはあくまでも平和的手段で圧迫をかけますが、場合によっては軍事的に粉砕しますとなっています。

こうした軍事的措置を含む「集団安全保障」を加盟国は「誠実に履行する」「義務」を負っているとされている。(国連憲章第2条)

しかし、こうした「集団安全保障」が「必要な措置を取るまでの間」、加盟国は「個別的」「集団的」自衛権という加盟する国家が固有に持つ権利を害しないともある。(国連憲章第51条)

ここで頭脳明晰な高校生なら「アレッ?」と思いますね。日本には憲法9条があるから国連憲章が前提にしている「安全保障」に貢献することが出来ないのではないかな、という疑問ですね。そうなんです。実は国連加盟論議が起こったころから国連憲章と憲法9条の矛盾は感じていた人もいたわけです。原理的に矛盾してないか?という疑問ですね。憲法調査会の改憲議論でもこの視角から改憲論を展開する意見もあったようです。

ただ、これは別の解釈もある。「国際紛争を解決手段として」個別の国家が武力を発動する事態と違い、国連からの要請で加盟国としての「義務」を遂行するわけであるから、平和維持という神聖な義務達成のための必要な軍事的支援は、当然、国際法上も合法的であるという見解です。

そもそも国連憲章と憲法9条が論理的に背馳するならば、国連に加盟したことが間違いであったことになるわけですから、後者の解釈の方が合理的なような気がしますが。戦前も国家、社会よりも天皇制護持が大事であるというような倒錯した観念を持っていた人たちがいましたが、逆に現代では、現実の世界や日本の現状よりも憲法護持が大切であると考えている人もいる。もっと事実と現実を冷静に認識しなければならないと思います。

まず確認しなければならないのは、上に述べたように「集団安全保障」と「集団的自衛権」はまったく違うものだという事です。そして、今問題になっている「集団的自衛権」。国家の固有の「権利」として国連憲章も認めている権利です。また、この権利を否定している国家はほとんどないのではないでしょうか。

過去、日本国政府は「集団的自衛権を権利としては持っているが憲法上放棄している」という解釈でしたが、最近さすがに変わりました。今、日本を核攻撃する可能性があることを広言する隣国があります。つまり核脅迫を受けているわけですが、集団的自衛権を否定することにより本当に日本が防衛できるのか疑問に思う人が出てくるのはやむを得ないでしょう。

それよりも何よりも、国連憲章には「敵国条項」(国連憲章54条)という恐ろしい条文があります。戦後72年たちましたが、国際連合は旧連合国の組織なんだと再確認させてくれます。まずはネットで「国連憲章」に目を通してみませんか。

ベストの広場1月号
塾長エッセイより