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「呼吸」は全自動?
「呼吸をするように」という表現が、「無意識に」「ごく自然に」という意味で用いられるように、呼吸は私たちが何も意識しなくても常に働き続けています。
個人により差はありますが、その回数は一日におよそ2万5千回、一年間ではおよそ1000万回にもなります。この数字を見ると、ほとんど意識することなしに、体がこれだけの働きを続けていること自体に改めて驚きを感じます。
ところが、この呼吸が全自動で働いているものかというと、必ずしもそうとは言いきれません。例えば、息を止めようと思えば一時的に止めることができます。また、深呼吸やため息も自分の意思でできますし、呼吸のリズムを意識的に変えることもできます。
このように、ほぼ自動で働く機能であるにも関わらず、一部手動の調整が可能である点がまた呼吸の不思議なところです。
ほぼ全自動+一部アレンジ可能な呼吸とは、どのような仕組みで行われているのでしょうか。
呼吸をコントロールする中枢は脳幹というところにあります。これが、血液中の酸素や二酸化炭素などの量を一定に保つため、呼吸のリズムを調整してくれています。また、心臓の近くにある大動脈弓という部位と、首の太い血管である頸動脈も、脳幹の働きをサポートしていて、これらは全て私たちが無意識なところで働き続けてくれています。
一方、意識的に息を止めたり、深呼吸したりすることができるのは、大脳皮質の働きで、これを随意的呼吸調節と呼びます。呼吸を止めると言っても、せいぜい一分程度に過ぎません。それは、呼吸中枢の指令が大脳皮質の指令より優先されているためです。
生命維持に関わるような重大なことは、私たちの意思などに任せていては危なっかしいから、体が自動で管理しますということなのでしょうか。確かにその方が安心ですね。
自分の呼吸だけに意識を向けていると、余計な考えが消えて、心が落ち着いていきます。それは、自分が存在するために最も重要なものと向き合っているからなのかも知れません。
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