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2024年11月01日

「日本的カラフル」

あなたの好きな色は何ですか?
そう聞かれた時、多くの人は、赤、青、緑、黄、白、黒などの色を思い浮かべるでしょうか。
同じ赤や黒でも、茜色(あかねいろ)や漆黒(しっこく)のように、日本には微妙な色の違いを分ける、様々な色の名前があります。
今回はそんな日本独特の色をいくつかご紹介します。

黒橡(くろつるばみ)
黒橡(くろつるばみ)は、濃い茶色がかった黒色で、日本の伝統的な染物や漆器、建築などに使われています。
橡(つるばみ)とはクヌギの昔の呼び方で、実を煎じ、鉄で焙煎して染めた色が黒橡です。
奈良時代にはすでに使用されていたという記録が残っていますが、当初は身分の低い人々の衣服の色とされていました。ところが、平安時代、一条天皇の時代になると、それまでの位に応じた服の色の制度が崩れ、橡は上級貴族の色となりました。源氏物語に登場する黒橡も、権力や威厳を象徴する色として使われています。

朽葉色(くちばいろ)
朽葉色(くちばいろ)は、落ち葉が時間の経過とともに変化していく色合いを表現した伝統的な日本の色です。和歌や俳句にも詠まれた朽葉色は「もののあはれ」と結びつき、平安時代の貴族にとても好まれた色でした。源氏物語や枕草子、平家物語といった古典の代表的作品にも、この色の染色や織物が登場します。
今でも残っている色の名前として、赤みのある赤朽葉、黄みのある黄朽葉、緑の色合いが残る青朽葉という呼び方があります。

柑子色(こうじいろ)
柑子色(こうじいろ)は、明るく温かみのある黄色系の色で、平安時代から使われてきた歴史のある色です。名前の由来は、柑子蜜柑(こうじみかん)の熟した実にあります。柑子蜜柑というのは、現在、一般的によく食べられている温州ミカンの先祖のような存在で、温州ミカンと比べると、やや薄く明るい色です。
平安時代には意外にも、柑子色は男女ともに喪に服す期間に着用する色として使われました。また、女性の喪服として、萱草色(かんぞういろ)という色も使われました。これは忘れ草の異名をもつ萱草(かんぞう)の花の色で、明るいオレンジのような色です。ちなみに忘れ草というのは、身に着けると辛さや悲しみを忘れられるという中国の故事に由来します。

今回ご紹介した色の中で、知っていたものはありましたか?
知らなかった色については、どんな色を思い浮かべたでしょうか?
ここでは、実際の色は掲載しませんでしたので、興味のある方はぜひ調べてみてください。

日本では、豊かな自然や季節の移り変わりの中にある様々な色が言葉で表され、生活や文化・芸術に取り入れられてきました。そのような色の存在を知ることで、身の回りのものから「日本的カラフル」を感じてみませんか。

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