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2023年09月05日

『令和5年度都立高校入試の平均点を振り返る』

6月下旬に、東京都教育委員会から『令和5年度都立高校入試に関する調査報告』が発表されました。下の表は教科別平均点です。平均点が増加した科目としては、国語で+12.0点、英語で+1.7点、社会で+6.4点でした。平均点が減少した科目では、数学で-1.4点、理科で-2.0点でした。今回は平均点が減少した数学と理科について、それぞれのポイントをまとめてみました。

教科別平均点

教科 国語 数学 英語 社会 理科
R5年度 80.8 57.6 62.8 55.6 59.4
R4年度 68.8点 59.0点 61.1点 49.2点 61.4点

【数学】
問題構成は例年通り、1 小問集合、2 文字式の利用、3 関数、4 平面図形、5 空間図形でした。

〔大問1〕小問集合(46 点)

数・式の計算、方程式(計算)、確率、図形(角度計算、作図)など計9題が出題されました。難易度も特に変わらず、全体的に正答率が昨年よりも高かったです。

〔大問2〕文字式の利用(12点)

図形に関するものが出題されました。今年は問1で相似の応用、問2でおうぎ形の弧の長さや面積の一部を文字で表す必要がありやや計算の難度が高く正答率が下がりました。

〔大問3〕関数(15 点)

今年は直線に関する問題が出題されました。問1は式に値を代入して座標を求めさせる問題で昨年よりも少し易化、問2は直線を求めさせる問題でしたが、図を描いて思考する必要があり、やや難化しました。問3は座標を文字で置いたり、等積変形を利用する問題が出題され誤答率42.9%、無答率43.3%、正答率13.8%と難問でした。

〔大問4〕平面図形(17 点)

今年は台形に線分を描き足した問題が出題されました。問1は角度を文字式で求める問題で、難易度は昨年並み、問2①は相似の証明が出題、特にひねりがなく正答率が高かったです。問2②は面積の割合を求めさせる問題でした。誤答率71.5%無答率27%正答率1.7%と一番正答率の低い問題でした。三角形の底辺比と面積比の関係や相似の関係をうまく活用していく必要があり、修練をつんでいないと厳しい問題でした。

〔大問5〕空間図形(10 点)

正四面体の辺上を点が移動する問題でした。問1では、最短経路を求めさせる問題でしたが、誤答率70.8%、無答率16.8%、正答率12.5%と昨年よりも正答率が下がりました。問2は立体の一部の体積を求めさせる問題でした。誤答率66.8%、無答率30%、正答率3.2%とこちらも難度が高く正答率が昨年に引き続き低かったです。

【来年の入試に向けて】
数学は毎年出題傾向があまり変化していないので、今年も大きな変更はないと予想されます。まずは大問1やそれ以外の取るべきところを対策していくことが重要になります。ある程度実力がついてきたら、さらに解ける部分を増やす特訓をしていきましょう。
特に計算は数学の土台です。一部の問題を除けば、たとえ解き方が思いついたとしても計算ミスをしたらその問題は0点にされます。受験までは計算力を磨き続けてください。

【理科】
今年は昨年と比べ、問題構成に変化がありました。大問1の小問が5→6題になり、代わりに大問4の生物の問題が4→3題となりました。大問構成は変わらず、1 小問集合、2 日常生活に関わる問題、3 地学分野、4 生物分野、5 化学分野、6 物理分野が出題されました。

〔大問1〕小問集合(24 点)

正答率67.4%と昨年より上昇、思考問題はほとんどなく全体的に知識があれば解ける問題でした。

〔大問2〕日常生活に関わる問題(16点)

昨年と同様、思考問題が出題されました。今年は3題が計算、1題が天体の問題とやや難化し、正答率が下がりました。

〔大問3〕地学分野(16点)

露点や雲の発生に関する実験の問題でした。問1が今年の理科の試験で唯一の記述問題で、正答率が29%と低かったです。問3は雲のでき方の知識問題でしたが4題完答式のため正答率が下がったと考えられます。

〔大問4〕生物分野(12点)

ヒトの体内の消化に関する実験の問題でした。問2、問3の問いが実験と関係なく、知識で選択できる問題であったため、正答率が高くなったと考えられます。

〔大問5〕化学分野(16点)

水溶液に電流を流す実験の問題でした。問1と問4の正答率がそれぞれ30.6%、36.6%と低かったです。塩化銅が電離したときの水溶液の様子や水溶液中のイオンの数の変化のグラフを選ばせる問題で、やや難度が高かったことが要因と考えられます。

〔大問6〕物理分野(16点)

昨年が運動についての問題であったのに対し、電流の実験についての問題であったため大問正答率が下がったと考えられます。問3の正答率が一番低く23.2%でした。2つの別の回路の抵抗にかかる電圧の比を求めさせる問題で、難度が高かったです。

【来年の入試に向けて】
理科は問題構成にほとんど変化はありませんが、まんべんなく様々な単元が出題されます。また、知識問題に加え思考問題も多く出題されているので、その対策をしていく必要があります。とはいえ思考問題は知識があること前提の問いになっているものが多いので、まずは今までに学習した単元の知識を身につけてください。それと同時に思考問題にもチャレンジしていき、実力をつけていきましょう。

【志望校合格に向けて】
たとえ勉強していても、知識は抜けていきます。同じ問題でもよいので、繰り返し繰り返し勉強するということを心がけていってください。その地道な努力が合格につながります。都立一般と限らなければ、高校入試まであと5ヶ月ほどです。気を引き締めて頑張りましょう!

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